当院には、犬の出産に関する様々な相談
が多く寄せられます。
ブリーダーさん・ペットショップさんに
数多く通院して頂いている事もあります
が「一般家庭で出産させるお手伝い」も
しております。
そこで、犬の繁殖「出産・避妊手術」に
ついて当院の考え方を書いていきます。
手術の選択肢:
- 避妊(去勢)手術をする。
- 出産をさせる。
- 出産後、避妊手術をする。
- 出産・避妊(去勢)手術どちらも
しない。 - メスは「子宮の病気・卵巣の病気・乳
腺の病気等」になった時に
オスは「前立腺の病気・睾丸の病気・お
尻の周りの腫瘍等」になった時に「治療
として」避妊(去勢)手術をする。 - 性ホルモンが原因の病気になっても手
術はしない。
等があります。
どれを選択するかは飼い主さんのお考え
によります。飼い主さんに「考えて選ん
でいただきたいため」ここに出産・避妊
の方針を書く事はいたしません。
しかし「もし獣医師・私自身の子ならば
どうするか」は診療時にお聞きください。
避妊(去勢)は「人間に飼育されている
犬に」行う手術です。自然界の動物とは
違います。「自然のままが良いとお考え
の方」もいらっしゃいますが「飼育され
ている以上」自然とは条件が異なります。
本能のままであれば「子孫を残すのが自
然」です。しかし半年毎に来る「繁殖期
に毎回出産させるのは非常に大変な事」
です。
避妊(去勢)手術をする目的:
- 性ホルモンによる病気の予防:メスは
子宮・卵巣・乳腺など「女性ホルモンが
関与する病気の予防」が出来ます。
オスは前立腺・睾丸・お尻の周りの腫瘍
など「男性ホルモンが関与する病気の予
防」が出来ます。「若い時期に手術をする
事」で「性ホルモンの病気の発生率が」
かなり低くなります。 - 性ホルモンの「病気になった時」に「
治療として」避妊(去勢)手術をする。 - 発情期のわずらわしさ(動物側・人間
側・双方共)の回避:発情期には「食欲
が無くなる・気が荒くなる等」行動に変
化が出る事があります。メスは陰部から
の出血でいろいろな所が汚れたり「病気
と間違う様な行動もみられる事」があり
ます。それらは発情期の正常な行動です
が「交配をしない事は動物に我慢させて
いる」のです。 - 望まない繁殖の抑制:本来動物は「発
情期に子供を作るのが自然の行動」です。
出産させても「すべての子をしっかり飼
育する・飼い主をみつける覚悟」が無け
れば出産させるべきではありません。 - マーキング(臭い付け)・マウンティン
グの抑制:特に「オスは縄張りにおしっ
こを少しかける」マーキングをします。
発情期になると家の中で飼育されている
子は「色々な場所に足を上げておしっこ
をかける事」があります。
オス・メスともに「相手の上に乗って腰
を振る」マウンティングをします。
これは「自分の方が強いことを示す行動
」で「オスはマウンティングの最中に射
精する事」があります。
早期に去勢手術をすることでマーキング
・マウンティングを抑制出来ます。
避妊(去勢)手術時・手術後に起こる
かもしれない事:
- 麻酔の危険:全身麻酔下での手術にな
るので「手術中の事故は人間同様」あり
ます。事前に肝機能検査・腎機能検査・
血液凝固異常検査等の血液検査を行いま
すが「予測できない事が起こる可能性」
はゼロではありません。 - 太りやすくなる:手術前と食べる量が
変わらなくても「基礎代謝が落ちること
で太りやすくなる」と言われています。
食欲が増す子もいます。 - マーキング・マウンティングが治らな
い:性ホルモンが分泌されなくなっても
マーキング・マウンティングを繰り返す
子がいます。オスだけでは無くメスにも
あります。 - 性格が変わる:元々の性格もあります
し「性ホルモンによる性格への影響等」
事前に手術後の変化は分かりません。
大人しくなるのを期待して「手術をして
も変わらない事」や「動物病院が嫌いに
なる子」もいます。 - 毛質が変わる:特にミニチュアダック
ス等で、仔犬の様な「フワフワとした毛
質になってしまう子」がいます。 - 尿漏れ:特に大型犬で、手術後数年経
ったあと「寝てる時に少し尿が漏れてし
まう子」がいます。
出産についての考え・心構え:
一般家庭で出産させる理由は「飼ってい
る子の子供が欲しい」飼い主さんからす
れば「孫が欲しい・顔が見たい」心境で
しょうか。もう一匹(だけ)増やしたい
ので産ませたい・見たい等色々あると思
います。しかし「出産は人間同様にリス
クを伴う事」でもあります。
以下 ◉ 項も参考にされて「事前にご家庭
でよく相談したうえ決断」してください。
- 以前は母犬に「子供を産ませると将来
的に婦人病になりにくい」と言われてい
ました。しかし現在では「若いうちに1
〜2回出産させても将来的に婦人病にな
る可能性が低くなる事は無い」と考えら
れています。 - 犬の出産は「飼い主さんのため」犬の
出産・妊娠を決めるのは飼い主さん。 - 本能では出産する事が自然「1度だけ
では無く、発情期の度」に。 - 出産は「親・子共に死をともなう事」
がある。 - 交配したら絶対に出来るわけではない。
人間とは違い「チャンスは年2回」しか
ない。 - 犬は安産といわれていますが「犬種に
よっては上手く産めず帝王切開になる」
事もあります。 - 奇形の子や先天的に「病気を持った子
が生まれてくる可能性」がある。 - どんな子が生まれてきたとしても育て
る覚悟・決意。 - 何頭産まれるのかは誰にも分かりませ
ん:何頭産まれても「行先を決める必要
」があります。「事前に行先を探す準備」
が必要です。 - どこで交配するのか:ブリーダーさん
・ペットショップさん・お知り合い(相
性が合う子)・飼い主さんが望む交配相
手等。
「血統書を取得・産まれた子の行先を仲
介してもらう」のであれば「プロの方に
仲介を頼む」のが確実です。発情が来て
から急いで決めるのでは無く「数ヶ月前
から事前に段取りをした方が良い」です。
わが子の「相手の容姿・色・大きさ等は
事前に確認」する様にしましょう。オス
を飼ってなくても「交配の仲介をしてい
るペットショップさん」があります。し
かし「交配相手を飼い主さんが確認出来
ない事も多い」ので料金も含めて「事前
に確認をする事」をお勧めします。
なお当院では「診療時間外の初診・診療
時間外緊急のみ・初診時のお産のお手伝
い」はお断りしています。
お産前の「診療時間内に検査来院」され
「お産についての説明」をお聞きになり
「当院の予定をお伝えしている方」のみ
対応させて頂きます。「安全な出産に備え
て大切な事」ですのでご理解をお願いし
ます。
ブリーダーさんに向けて
- 過去の出産で「奇形・先天的な異常が
出た子(兄弟を含む)の出産はさせない」
遺伝の可能性が高いです。 - 交配するオス・メスの組み合わせを考
える。 - 犬種を追究し容姿や毛色を追究するだ
けでは無く「奇形や先天的な異常を出さ
ない様にする」のもブリーダーさんの役
割です。
獣医師の勤め
- 「望まれない子を妊娠」した場合「堕
胎・避妊手術」をするのも獣医師の仕事
です。「出産をさせるな・避妊しなくては
いけない」と言い続ける事だけが獣医師
の役割では無いのです。 - 出産に対し色々考えたうえ「飼い主さ
んが出産させたいと決断」されたのであ
れば「親子とも無事に出産を終える事が
出来る様に」お手伝いをする事が獣医師
の最大の役割だと思います。
検査(交配前の検査):
- ブルセラ症という「交尾で感染する感
染症」があります。これは「血液検査で
確認する事が出来ます」が感染している
子は不妊・流産が症状です。「オス・メス
共に検査する必要」があります。 - 一般的には「生理出血後10日から
14日目くらいの間に排卵をする事が多
い」です。精子は「2~3日間は受精能
力がある」ので「1日おきに数回交配す
る事で受胎の可能性」が上がります。 - 発情期にはメスの陰部が普段の3〜4
倍に「ふっくらやわらかく大きく」なり
ます。 - 排卵日3日前位からメスが尻尾を上げ
たりお尻をすり寄せてきたりする仕草が
みられます。オスはメスの発情期に合わ
せて発情し「マウンティング」を始めま
す。普段「気が強くてマウンティングを
させないメス」が「マウンティングを受
け入れる時」は排卵が近いと思います。
逆に「普段から誰にでもマウンティング
をさせる子」は「排卵時期の判別が難し
い」です。 - 臭いの変化:ブリーダーさんの中には
「排卵前に犬の体臭が変わる」と感じる方
もいらっしゃいます。 - 発情出血が無い「無出血メス」もいま
す。上記のような仕草がみられたら発情
期が来ているかもしれません。「無出血
の子はいつから発情期が始まったのかを
確認出来ない」ので「排卵日を予測する
事が非常に困難」です。 - スメア検査:綿棒で「膣の細胞を採取
し染色」し「顕微鏡で細胞の形・細胞の
核の形を観察する事」で「排卵時期を推
測」します。「排卵3日前くらいから角
化細胞が増えてくる事」と「有核細胞が
減ってゆく事」それらのバランスで「排
卵日を予測」します。
排卵前・排卵後と「同じような細胞バラ
ンスになる事」があるので「1度の検査
では分かりません」。通常は「発情出血
後7日目頃に1回目の検査」その後「
1日おきに検査し、細胞バランスの変化
をみる事」が重要です。 - 女性ホルモン測定:血液検査で「プロ
ゲステロン濃度を測定する事」で「排卵
時期を推測」します。通常時は低い値で
すが「排卵直前から値が上昇」します。
「値の上昇時を捉える事」が重要なので
「この検査も1度では分かりません」。
「排卵前の値が低い事を確認」し1日おき
に検査し「プロゲステロン濃度の上昇を
確認した後」交配します。
検査(交配後の検査):
- 犬の妊娠期間は60〜63日です。
- 交配から30日前後の時期に「超音波
で子供が出来ているかどうか検査」出来
ます。心臓が動いているか・何匹位いる
か確認出来ます。その後人間のように「
1週間ごとに超音波検査」し「胎児の成
長を確認」します。 - 交配から58日以降の「分娩前1週間
くらいの時期に、レントゲン検査」しま
す。胎児の数・大きさ・母犬の骨盤の広
さなどを確認し「分娩の時期や自然に産
める大きさなどを判断」します。 - 母犬の骨盤の広さよりも胎児が大きい
場合「帝王切開になる可能性」が高くな
ります。骨盤の広さより胎児が小さくて
も「陣痛が弱いと自然に産めない事」も
ありますが「これは出産が始まるまで」
分かりません。
お産のための用意:
- 交配して40日前後の妊娠中期から「
食事のカロリーを10〜20%増やすと
良い」と言われています。沢山食事を与
えても全てが仔犬の栄養になる訳ではあ
りません。母犬が太るだけなので「増や
しすぎない事」が大切です。 - 胎児が大きくなるにつれて「胃が圧迫
され1回に食べる食事の量が減る子」も
います。 - 食事の量を変えずに「カロリーを増や
すために仔犬の離乳食用のフードを母犬
に与える事」も良いです。日本で一般的
に売られているドックフードは「妊娠中
必要な栄養素は十分」含まれています。
ダイエットフード・低カロリーフードは
やめてください。まれに出産後カルシウ
ム不足になる事がありますが、産前から
カルシウムを過剰に与える必要はありま
せん。 - インターネット・YouTube等に犬の
出産シーンがあります。イメージするた
めに色々ご覧になってください。 - お産箱の大きさは「穴を掘る仕草が出
来る広さに」してください。日常生活で
「排泄前に・寝る前等にグルグル回る事」
があると思いますが「その範囲くらい」
です。広すぎても狭すぎても居心地が悪
い様です。 - 段ボール:汚れたら捨てやすいですが
「普段から使用していないと、そこで出産
してくれるかは不明」です。 - 普段使っているクレート等:落ち着い
て出産出来ますが「観察しにくかったり
出て来なくなってしまう可能性」があり
ます。 - 本来は「土に穴を掘り穴の中で出産を
する」ので「屋根があり、周りが囲まれ
ているスペースを作ってあげる」と良い
です。段ボール箱を使用する場合「屋根
を作ってあげる」と落ち着く事がありま
す。 - 色々な準備をしても、机の下・こたつ
の中・ソファーの上・人の布団の上等
母犬が気に入った場所で産んでしまう事
もよくあるようです。 - 敷き物は「必ず白いタオルを何枚か敷
いて」ください。お産の最中にオリモノ
の色を確認するために「必ず白いタオル
にしてください」新聞紙や柄物タオル等
は色を判別しにくいため適しません。
お産当日の身体の変化:
- 食欲が無くなります:「好きなオヤツ
も食べないとお産が近づいています」た
だし食べながら出産する子もいますので
必ずではありません。 - 穴を掘る仕草を頻繁にします:妊娠し
てなくても「寝る前に穴を掘る仕草がみ
られる事」がありますが、それと同じよ
うに「グルグルまわりながら穴を掘り」
ます。 - 落ち着きがなくなり「ウロウロと歩き
回り」ます。 - 暑くないのにハアハア呼吸が荒くなり
ます:特に冬場はヒーターで「室温が高
いためにハアハアいう事」もあります。
少し涼しく感じるくらいの室温にしても
「ハアハアいう時は陣痛が来ている可能性
」があります。 - 便が少しゆるくなる・尿が近くなる:
どちらも「胎児が骨盤の方に降りてくる
ため」に「腸や膀胱を刺激するため」で
す。 - お乳を搾ると出る:とくに「経産婦な
どは数日前から出る事」があります。 - 体温が平熱よりも1度くらい下がりま
す:犬はお尻の穴で体温(直腸温)を測
ります。出産前は直腸温が平熱よりも
1度くらい下がります。「母犬の様子に
変化があってから測っても、熱が下がっ
たかどうかが分からない」ので分娩予定
日の1週間くらい前から1日3回くらい
測り「まず平熱を知る事」から始めてく
ださい。平熱より「1度以上下がれば
24時間以内に生まれる事が多い」です。 - これらすべての仕草が必ず起こるわけ
ではなく「いくつかの仕草」が重なって
きたら「お産が近い可能性がある」ので
心の準備をしてください。
陣痛:
一定の間隔で「お腹に力を入れて力む行
為」です。ただし「人間のような陣痛を
想像すると見逃してしまう可能性」があ
ります。例えるなら「つかまり立ちし始
めた幼児が立ったままウンチをしている
ときの力み具合」でしょうか。ちょっと
体に力が入り「あれ?ウンチしてる?」
「力んでる?」と感じる位で「すでに陣痛
が始まっている事」があります。強い陣
痛がきているのに「胎児が出てこない」
「母犬が陣痛の度に鳴き叫ぶ時」は「胎児
が引っかかっている事」があります。
破水:
量と臭いは「色が薄い時のおしっこ」と
非常によく似ています。「トイレのしつけ
が出来ている子」の「トイレ以外が濡れ
ている」と「破水の可能性」があります。
おしっこなのか破水なのかを「見極める
ポイントは足の濡れ方」です。足は「お
しっこで大きく濡れる事」はありません
が破水の時は「太ももの辺りがベタベタ
になっている事」が多いです。
分娩:
破水が先の場合・陣痛が先の場合どちら
もあります。犬の出産は「破水や陣痛が
始まってから1〜2時間以内に分娩する
事」が多いですが「いつから始まったの
かを見極める事」が非常に重要です。仔
犬1匹ごとに1〜2時間かかっても異常
ではありませんが、安産の場合は1匹あ
たり30分以内にポコポコ生まれてくる
事が多いです。
胎児の処置:
- 母犬が「羊膜を口で破り仔犬をペロペ
ロ舐めていて」「仔犬が動いていれば」
何もする必要ありません。飼い主さんが
ニコニコ穏やかに眺めていると母犬は落
ち着きます。飼い主さんがうろたえると
「母犬も不安に」なります。 - 分娩直後「仔犬は羊膜におおわれてい
る事」があります。「母犬が口で破らない
(破れない)場合」破ってあげてください。
薄くやわらかいラップ位の厚さです。「
体液でヌルヌルしているので破りにくい」
かもしれませんが「タオルで拭きながら」
だと簡単に破れます。 - 羊膜は胎児の体全体をおおっています
が「頭・お尻・どこでも一ヶ所破る」と
ペロッとめくれて 仔犬が出てきて「へそ
の緒だけ」が残ります。 - 一般家庭で産まれた場合、飼い主さん
は「急いでへその緒を縛ろうとアセる事
が多い」ですが、へその緒の処理は最後
で良いのです。大げさに言えば「産まれ
てから30分後に縛っても」問題ありま
せん。仔犬がちゃんと「動いている事を
確認した後に縛れば良い」です。自然界
では誰も縛ってくれません。へその緒は
「胎児の身体から1〜2センチ離して木綿
糸等でしっかり結び」「胎盤側をハサミで
切ります」。 - へその緒を縛る場所も「仔犬が動くと
1〜2センチの所で縛れない事」があり
ますがこれも問題ありません。「5センチ
の所〜10センチの所」で構いません。
どちらにしても半日から1日後には乾燥
して取れてしまいます。「長すぎると母犬
がいつまでもかじってしまう事」がある
ので「短めが良い」と言われています。 - 分娩後すぐにへその緒を切ると出血し
ますが「時間が経った後に切れば」血は
出ません。 - 自然界では胎児・羊膜・羊水・胎盤等
は「血の臭いがするために外敵の格好の
餌」になります。母犬は「本能的にそれ
らの臭いを消すため」に「羊膜や胎盤な
どを食べてしまい胎児を舐め続けます」
その「舐められる刺激で仔犬は呼吸を」
促されます。 - 母犬が「仔犬を舐めない時」は「全身
を乾かすようにタオルで優しく」拭いて
あげてください。仔犬が「動いて鳴き声
をあげれば」大丈夫です。 - 胎盤は「仔犬1匹当たり1つ」ついて
います。「1匹出産するたびに1個出て来
たか確認」してください。自然分娩では
仔犬が出てきた時にへその緒がちぎれて
しまい「胎盤が中に残ってしまう事」も
多いです。時間が経つと「自然にドロッ
と」出てきます。胎盤が残っていても「
次の子の分娩の妨げになる事は少ない」
ですが、緑色のオリモノが出てきた時に
「胎盤剥離なのか」「残っている胎盤の色な
のか」の判断が難しくなります。 - 母犬は胎盤を食べる事が多いです。数
個食べるとそのあと母犬は1週間ほど下
痢になる事があります。慣れたブリーダ
ーさんは取り上げて食べさせない方もい
らっしゃいます。 - 胎盤を食べる事に栄養的な意義は無い
様です。しかし一般的には「胎盤を食べ
ようとする母犬は母性が強く・子育てを
自分でしてくれる子が多い」と言われて
います。食べようとするかで「子育てを
するかしないか」の判断材料になる様で
す。ブリーダーさんの中には「食べよう
としない子の口に、胎盤を入れ舐めさせ
母性を促す事」もある様です。 - 複数の子がいる場合「1匹生まれた後
すぐにお乳を飲ませる母犬」もいれば「
最後の子が生まれた後にようやく仔犬を
舐め始める母犬」もいます。基本的に「
生まれた仔犬の呼吸がしっかりしている」
「タオルで体をさすった時に鳴き声をあげ
る」のであれば出産が終わって「数時間
はお乳を飲まなくても」問題ありません。
しかし「特に匹数が少ない場合・寒くな
いように温めてあげる事」と「初めての
授乳はその日の内に出来ると良い」でし
ょう。
異常分娩:
- 陣痛微弱:陣痛・破水をしてから2時
間以上出産しない場合は「難産の可能性」
があります。「超音波検査で胎児の心臓の
動きを確認する」のも1つの方法です。
難産の場合「帝王切開になる事」もあり
ます。 - みどり色のオリモノ:「胎盤剥離の可能
性」があります。子宮の中にいる胎児の
胎盤がはがれると「呼吸が出来なくなり
死んでしまいます」「緊急事態で直ぐに帝
王切開」になります。 - 仔犬の一部が見えているのに出てこな
い:引っかかる場所によっては「5分で
死んでしまう事」があります。見えてい
る「体の一部を引っ張るとちぎれてしま
う事」もあります。引っ張らず「母犬の
お腹を圧迫して押し出し」ますが「膀胱
破裂などの危険」もあるので「知識や技
術のない方はやらず」直ぐに病院にご連
絡ください。車に乗せて揺れると出てく
る事もあります。 - 電話のお問い合わせで「これは陣痛で
すか?」「自分で産めますか?」等のご
質問がありますが「大丈夫とは言えませ
ん」直ぐにご来院ください。
分娩後の観察:
- 毎日仔犬の体重を量る:「乳首を咥えて
いても母乳を飲めて無い事」があります。
「1日1回仔犬の体重を量る事」で「母乳
が飲めているかどうかの確認」をします。
「2日連続体重の増加が認められない時」
は直ぐにご来院ください。 - 母犬が「仔犬に興味を示さない時」は
「人がいろいろ手伝ってあげる必要」があ
ります。 - 母犬が「仔犬を舐めない時」は「舐め
させるように促す必要」があります。母
犬が仔犬を舐める行為は「仔犬の呼吸・
排泄を促す」「母犬が母性を出す」ために
大切な事です。「きれいに洗った指・お湯
で湿らせたガーゼ等で陰部や肛門を数回
ちょんちょんと触る」と「おしっこやう
んち」が出てきます。それを「母犬の口
に入れて舐めさせる事」で「母性を促し
仔犬を舐めさせる様に」します。母犬が
仔犬を舐めず「仔犬がおしっこやうんち
をしない時」も上記同様「きれいに洗っ
た指・お湯で湿らせたガーゼ等で陰部や
肛門を数回ちょんちょんと触り」おしっ
こやうんちをさせてあげてください。必
ず毎回出るとは限りません。「出なくて心
配」でしたらご来院ください。 - 母犬が仔犬にお乳を飲ませない時「咬
まれない様に気をつけながら」「1人は母
犬に声をかけながら・1人は仔犬にお乳
を飲ませる」を「2人で行う」と良いで
しょう。仔犬の口を乳首に近づけ母乳を
飲ませます。仔犬は「1度乳首を咥える
事を憶えると」次からは母犬のお腹近く
に置くだけで「自然に乳首を咥えに行く
様に」なります。 - 基本的に母犬が仔犬を舐めていれば(
全て舐めてしまうので)おしっこやうん
ちが出ているかどうかは分かりません。
仔犬が「お乳を飲んで元気で・毎日体重
が増えていれば」おしっこやうんちを確
認出来なくても心配ありません。ただし
「仔犬がおしっこやうんちで汚れている時
」は「母犬が舐めていない可能性」があり
ます。
その他:
- 断尾するか考える:犬種によって「生
後1週間ほどで断尾」を行います。近年
「諸外国では断尾しないのが主流」ですが
日本では、プードル・ヨークシャテリア
・シュナウザー・コーギー等の犬種は未
だ断尾する事があります。しかし一般家
庭で生まれた子は「必ず断尾する必要は
ありません」ので「良くお考えの上」決
断してください。断尾をしてない子は「
尻尾の動きが良く分かり・人間に感情が
伝わりやすい」です。小さい頃に断尾
しなくても「大人になってから避妊手術
等で全身麻酔をする機会」に断尾する事
も出来ます。 - 生まれて10日前後で眼が開きます。
- 生まれて3週間前後で乳歯が生えてき
ます。「乳歯の確認が出来てから離乳食を
始める事」が多いです。(ヨークシャテリ
ア・マルチーズ等の犬種は、乳歯が生え
るのが比較的遅い傾向にあります。)
乳歯が生えてくると「お乳を吸われるの
が痛いので母犬が授乳を嫌がる様に」な
ります。「お乳を飲ませてもらえなくなる
事で」お腹が空き「離乳食を食べる様に」
なります。母犬が痛みを「我慢して授乳
していると離乳が遅れる事に」なります。 - 離乳の時期は「お家に残る子は遅くて
も」問題ありません。しかし「新しいお
家に行く予定の子」は「予定の1週間前
まで」に「離乳が終わってないと行った
後が大変に」なります。 - 生まれて1ヶ月前後で「耳の穴があき」
それまで「ハイハイしていた」仔犬が「
4本足で立って歩く様に」なります。 - 生後60日前後までは「母犬・兄弟と
一緒に過ごした方が良い」と言われてい
ます。 - 新しいお家に行く1週間ほど前に
「動物病院で健康診断」し「1回目の
ワクチンを接種すると良い」でしょう。
その後「1週間ほど様子を観察し」何も
なければ「新しいお家に行く事」が出来
ます。